
カウンセリングやコーチング、NLPなどで使われたり、その中で言われているスキルの中で、
日常に取り入れて使えるスキルを場面別に紹介していきます。
日常のコミュニケーションやストレス対処、モチベーションの向上などに使ってみてください。
紹介する心理スキルは随時追加していきたいと思います。
相手の相談や悩みを聴くときに役立つスキル
相手を説得したいとき、説得されたくないときに役立つスキル
・傾聴(けいちょう)
「傾けて聴く」とありますように、心を傾けてしっかりと聴くということです。
ちなみに、心を傾けて聴こうとすると、体も傾けて(相手の方をちゃんと向いて)
聴こうという姿勢になります。
「アクティブ・リスニング」とも言われます。積極的に聴くことを意味します。
耳から入ってきた音声をただ聞き流すのではなく、相手の気持ちや感情を
汲み取って聴きます。
そして、相手の言葉を否定することなく、そのまま受け止め、相手の気持ちや感情に共感します。
傾聴の中にも、「うなずき」や「あいづち」などのスキルがあります。
<こんな時に>
会社の同僚や部下、友達、恋人、夫婦間などで、相手が悩みや相談を打ち明けてきたときに、
傾聴を行って聴くと、
相手は「聞いてもらった」と感じて、それだけでスッキリすることがあります。
また、相手は聞いてもらっていると感じるので、どんどん話してくれます。
聞いている自分も相手の気持ちをより深く理解することができます。
人間関係が悪い場合、そもそもお互いの話を「聞いていない」ことが少なくありません。
この傾聴を心がけるだけでも、人間関係が大きく改善されることがあります。
・うなずき
傾聴のスキルの1つです。
「うなずく」という言葉は日常でも使うように、相手の話にうなずくことです。
相手に「あなたの話を聞いてますよ」というメッセージを送ることになります。
もちろん首をただ上下に振ればいいということではなく、相手の話に合わせてうなずきます。
ちゃんと相手の話を聞いていないと、話に合わせてうなずくことはできませんので、
しっかり相手の話を聴くことになります。
話をしている相手に「ちゃんと私の話を聞いてくれているんだな」という安心感を与えます。
<こんな時に>
相談や悩みに限らず、相手の話を聴くときの基本といってもいいでしょう。
当たり前のように思われるかもしれませんが、うなずきがなされていない例を多く聞いてきました。
パソコンに向かったまま話を聞く上司、新聞に向かったまま話を聞く夫、
テレビに向かったまま話を聞く親。
いずれもうなずきどころか、相手に体を傾けてさえいません。
「最近、部下(恋人、子供など)が話をしてこないな」と思ったときは、自分の態度を振り返ってみると、
うなずいて聞いていないことがあるかもしれません。
<応用編>
一言で「うなずき」といっても、いろいろなバリエーションがあります。
「うんうん」とはやくうなずく、「うん、うん」とゆっくりうなずく、「うんうんうんうん」と何度もうなずく。
(文章では伝わりずらいかもしれませんが、ニュアンスは分かっていただけますでしょうか)
「うんうん」とはやくうなずくことによって、「続きを聴きたい」と話を促すメッセージにもなります。
「うん、うん」とゆっくりうなずくことによって、相手の悲しい気持ちを「受けとめましたよ」というメッセージにもなります。
「うんうんうんうん」と何度もうなずくことによって、「それ分かります!」といったメッセージにもなります。
これ以外のバリエーションもあると思います。また、同じようなうなずきをしても、場面や状況によっても相手に与える印象は異なります。
「うなずき」といっても奥が深いものです。
・あいづち
傾聴のスキルの1つです。
「あいづち」という言葉も日常で使われるように、相手の話に相槌をうつことです。
「はい」「ええ」「そうですね」「なるほど」など、あいづちのうち方はいろいろあります。
あいづちによって、相手の話や気持ちを受けとめることになります。
相手は「自分の話を聞いてもらっているな」「話をしていいんだな」といった気持ちになります。
そして、そのときの相手の気持ちを受けとめるだけではなく、相手の存在自体を認めることになります。
つまり、「この場所にいていいんですよ、たっぷり話をしていいんですよ」というメッセージになるのです。
特に、悲しい気持ちを抱えている人、不満をためこんでしまっている人、悩んでいる人にとっては、
うなずいて話を聞いてくれることによって、安心や安堵になり、気持ちを開放しやすくなります。
うなずきやあいづちは簡単受容とも言われます。
<応用編>
あいづちにも多くのバリエーションがあります。
「はい」「うん」「ふーん」「ええ」「そうそう」「ほお」「そうですね」「そうなんだね」「なるほど」「たしかに」など。
親しい間柄でビックリするような内容のときは、「マジで!?」「ホントに!?」「スゴイ!」「えーっ」「ウソー」といったあいづちもあります。
さらに、たとえば同じ「ええ」でもいろいろなバリエーションがあります。
「ええっ」と言えば、驚きを表します。
「ええ…」と言えば、戸惑いを表すでしょう。
「ええ?」と言えば、質問・疑問や聞きかえしにもなります。
(文章では伝わりにくいかもしれませんが、ニュアンスだけでも伝わればと思います)
あいづち1つで、相手がどんどん話してくれることもあれば、話がまったく続かないことにもなります。
ビジネスでも恋愛でも「なかなか話が続かないなあ」というときは、自分があいづちをしているか、
あいづちをしていても気持ちがこもっているかを見直してみると、解決のヒントがあるかもしれません。
・リフレイン(繰り返し)
相手の言ったことを繰り返すことです。
繰り返しともリフレインとも言います。
広く言えば、傾聴のスキルの1つです。
相手の言ったことを繰り返すといっても、まるまる全部繰り返すわけにいきませんから、ある言葉を取り出して繰り返すことになります。
リフレイン(繰り返し)をすることで、「あなたの話を聴いていますよ」「あなたの話を理解していますよ」というメッセージとなります。
そして、話している相手は、リフレイン(繰り返し)された言葉を聞くことで、意識がその言葉に向くことになります。
たとえば、左側をAさん、右側をBさんとします。
Aさん「昨日、先輩のCさんから仕事を丸投げされて腹が立って」
Bさん「腹が立ったんだね」
Bさんがこのようにリフレインすることによって、Aさんはその言葉を聞きます。
それにより、Aさんには、腹が立った気持ちやそのときの感覚が思い起こされます。
そして、自分の感情に意識が向かい、そのときの感情をさらに話すかもしれません。
Bさんが「あのC先輩が」と繰り返すと、その言葉を聞いたAさんはCさんのことをさらに思い起こします。
すると、Cさんの悪口などが続くかもしれません。
このように、リフレインする言葉によって話の展開が大きく変わります。
相手が不安や不満、マイナスの感情をためこんでいるとき、感情の言葉をリフレインすると、気持が開放されやすくなります。
<ワンポイント>
リフレインの簡単な方法としては、相手が最後に言った言葉を繰り返す方法があります。
上の例のように、「昨日、先輩のAさんから仕事を丸投げされて腹が立って」と言われた場合、「腹が立ったんだね」と返します。
これは、日本語の場合、「○○があって××と思った」というように気持ちや感情が文章の最後に来ることが多いため、
最後の言葉を繰り返すと、相手の感情の言葉を繰り返すことになりやすいのです。
<注意点>
日常会話においては、リフレイン(繰り返し)を使いすぎると、不自然な会話になってしまうことがあります。
自然にできるようになると、リフレインの上級者と言えるかもしれませんね。
・要約
「要約」とは、言葉のとおり、相手の話したことをまとめて伝え返すことです。
話している相手は必ずしも頭の中がまとまって話しているとは限りません。
特に、悩んでいることや迷っていることを話すときは、自分でも何を言っているか分からなくなるようなことはよくあります。
そのようなときに、聴き手が「いま話してくれたことは、こういうことですね」と要約してくれると、
話し手は頭の中が整理されます。
そして、整理されたことで気づくこともあります。また、その先に考えが進むこともあります。
「話があちこち飛んで考えがまとまってないんじゃないかな」「同じ話が堂々めぐりしているな」と思われるときは、
話をまとめて返してあげると、相手の気持ちや考えがスッと整理されることがあります。
<こんな時にも>
少し目的は異なりますが、ビジネス上でこの「要約」に近いことはよく行われますよね。
「いまおっしゃったことは、こういうことでよろしいですか?」のように、相手の意見や要望などを確認するときに使われます。
ただ、基本的なスキルでありながら、これが抜けてしまって、後から意見の食い違いが起きることが少なくありません。
話した方は「言わなくても分かってくれているだろう」と思い、聞いた方は「わざわざ確認すると『そんなことも分かってないのか』と言われないかな」
などと考えて、怠ってしまうことがありますが、お互いのリスク低減のためにも確認をしておいた方がよい場面が多いでしょう。
そのようなときに確認しやすくなる方法として、「確認させていただきたいのですが、よろしいですか?」と一言添える方法があります。
こう言われてNoという人はまずいませんので、グンと確認しやすくなります。
プライベートでも、恋人や夫婦間などで大事な話をするときは、「いま言ったのは、こういうことだよね?」と確認しておくと、
ケンカが減るかもしれません。
・ドアインザフェイス(Door in the Face)
これは、相手に何か要求するときに、最初は、相手が断るような負担の大きい要求をします。(仮に要求Aと言います)
相手がそれを断った後に、最初より相手にとって負担が少ない要求をします。(仮に要求Bと言います)
それにより、最初から要求Bを求めるよりも、要求が通りやすくなるというものです。
これは、相手が断ったことによって「断って悪かったなあ」という意識が起き、さらに負担の少ない要求をするという譲歩を行うことによって、
「自分も譲歩しないと悪いなあ」という意識が起きるためです。
"Door in the Face"という言葉は、"shut door in the face"(顔の前でドアを閉める、門前払いをする)という言葉から来ているように、
断られるところから譲歩を引き出そうというものです。
<こんな時に>
この「ドアインザフェイス」は、日常生活やビジネスにてよく使われています。
たとえば、買い物をして値切りたいとき。
1万円の商品を9000円くらいで買いたいと思う時に、最初から「9000円になりません?」と言うのではなく、
「8000円になりませんか?」などと言います。
店員さんに「8000円はちょっと…」と言われてから、「じゃあ、9000円ならいいですか?」と要求します。
こういうときも、「ドアインザフェイス」のスキルを使っています。
また、ビジネス上の営業の提案にて、10万円で販売したいと思うときに、最初から10万円で提案すると、
クライアントから値切られて9万円や8万円になってしまうかもしれません。
そのようなときは、まずは12万円ぐらいで提案することもあるでしょう。
(もちろん不当に高い金額をふっかければいいということではありませんので。不当に高い金額であれば、
他社を選ばれてしまうということもあるでしょう)
ビジネスの場面では、「ドアインザフェイス」を使われる場面も多いため、
ビジネスマン(ウーマン)としては、必須のスキルといっていいかもしれません。
<注意点>
何か購入しようとするときに、相手がふっかけてくることがあるでしょう。
たとえば、海外を旅行するとき、旅行者と見ると通常より高い金額をふっかけてくることがあります。
「こいつは分かっていないだろう」と思うから、ふっかけてくるわけです。
このようなときは、相場を知っていることが大切です。
こちらがよく分かっていない状況のとき、大きなドアインザフェイスをしかけられているかもしれません。
そのことについての情報を知ること、信頼できる人に確認することが大切でしょう。
・フットインザドア(Foot in the Door)
これは、ドアインザフェイスとは反対に、
相手に何か要求するときに、最初は、相手が受け入れやすそうな負担の小さい要求をします。(仮に要求Cと言います)
相手がそれを受け入れた後に、最初より相手にとって負担の大きい要求をします。(仮に要求Dと言います)
この要求が受け入れられた後、さらに大きな要求をすることもあります。
それにより、最初から要求Dを求めるよりも、要求が通りやすくなるというものです。
これは、相手の要求を受け入れたことで、次の要求を言われたとき、その要求を拒否することは
前の要求を受け入れた自分を否定することのように思い、
「まあ、いいか」と自分を正当化する意識がはたらくためです。
"Foot in the Door"という言葉は、ドアに足を踏み入れた状態です。
営業で訪問した人が、「ちょっと話だけでもいいですか」と足を踏み入れるように、
「話を聞くだけ」「ほんの数分だけ」といって要求を求めることを表しています。
<こんな時に>
この「フットインザドア」も、日常生活やビジネスにてよく使われています。
たとえば、営業の仕事では使われるケースが多いと思います。
「話を聞くだけでも」「あいさつだけでも」「パンフレットを見ていただくだけでも」などと言います。
特に面識のない相手の場合、「何か不要なものを売りつけられるのではないか」「だましてくるのではないか」
といった不安や疑念を持つものです。
商品やサービスを購入してもらいたいとき、モノにもよるでしょうが、最初から「購入してください」と言って購入されることは少ないでしょう。
ちゃんとその商品やサービスを知っていただいた上で購入してもらうという意味でも、必要なプロセスになります。
恋愛でも使えるケースは多いと思います。
まだ相手が自分のことをよく知らないうちに、「付き合ってください」と言ってもなかなか受け入れられないものです。
そこで、「みんなで飲みませんか」「ご飯でも食べにいきましょう」などと、相手が受け入れやすい提案をします。
相手の気持ちに合わせて、適切な「フットインザドア」を使えることは、モテる要素でしょう。
<注意点>
訪問販売や勧誘などで、この「フットインザドア」を巧妙に使ってくることがあります。
最初は「話を聞くだけ」「見るだけでいいですから」と言われていたのが、
いつの間にか高額の商品を買わされていた、契約を結ぶ話になっていたということがあります。
そのようなときは、言葉通りの要求だけでなく、相手の意図がどこにあるのか、相手の本当の要求は何か
に気を配る必要があるでしょう。
・知覚のコントラスト
コントラストとは、対比ということです。
ぬるいお湯であっても、直前まで冷たい水の中に手を入れていた場合は、熱く感じる。
このような経験をされたことがあるのではないでしょうか?
人の心理においても、同様の動きがあります。
たとえば、不動産を探している人に対して、はじめにみすぼらしい物件(A)を見せてから、
それよりはマシな物件(B)を見せることがあります。
これによって、最初から(B)の物件を見せるより、(A)を見せてから(B)の物件を見せた方が、
その対比によって、(B)の物件がよりよく見える、という効果を狙ってのことです。
このようなことを「知覚のコントラスト」と言います。
他にも、スーツなど高価な買い物をした後に、ベルトやアクセサリーを勧められて、いつもより安く感じたことはありませんか?
これも「知覚のコントラスト」効果です。
高い金額の品物を見た後は、それとの対比で、それより低い金額の品物は「より安く」見えてしまうのです。
<こんな時に>
不動産やスーツの例を出しましたように、販売や営業の際によく使われます。
他にも、車を買った後にカーナビが安く見えて、考えていたよりもいいカーナビをつけてしまったなど、
「知覚のコントラスト」がはたらいていたり、それを販売や営業に活用している例は多くあります。
また、販売だけではなく、人材育成の場面などにも使われます。
部下に、ポジティブなこと(相手を褒める、評価するなど)とネガティブなこと(注意する、叱るなど)の両方を伝えたいときに、
まずは注意をして、その後に褒めた方が、対比でよりうれしくモチベーションが上がると言われます。
<注意点>
どうしても人は比較の中で考えたり選んだりしますので、「知覚のコントラスト」がはたらくものだということを
意識しておくとよいと思います。
みすぼらしい物件を見た後は、普通の物件がよく見えるものですし、
高価な買い物をした後は、小物がより安く見えてしまうものです。
後で冷静になったときに「しまった…」と思わないよう、特に高価なものの場合は、「知覚のコントラスト」を踏まえた上での判断が大切です。
また、相手のモチベーションを上げるために活用することはいいことでしょうが、
自分を相手の思いのままに動かしたいという意図で使うことは慎みたいものです。
他のスキルも同様ですが、スキルを活用する動機や気持ちが大切です。